「対話」が苦手な監督が作った
「対話」の映画
「そういうつもりで言ったんじゃないんだけどな……」
「なんでこの人によく思われていないんだろう?」
なんて悩んだ経験はありませんか?
はっきり言って、僕は小さい時からこんな体験のオンパレード!!
人とのコミュニケーションにいつも課題を抱えていました。
話をしていても、なんだか伝わっていない。
「どうやったらうまく人とつながれるんだろう?」
こんな思いが、映画『こどもかいぎ』を作る上での一つの「種」になっていたんじゃないかなと、思います。
元々、この映画は「対話の大切さを伝えたい」と思って作り始めたわけではありません。
本作のテーマが、「対話」であった事は、正直に言うと、編集の途中で気づきました。
あぁ、自分が幼い頃、こんな風に話を聞いてもらっていただろうか?
お友達と、あるいは大人と、こんな風に、自由に「対話」をする場があったらなぁ……と。
それは、コロナ禍で人とのつながりが薄れ、対話をする機会が圧倒的に減ったことも影響しているのかもしれません(撮影自体はコロナ前にほぼ終了していました)。
そこで気づいたもう一つのことは、以前より、娘とうまく対話ができていなかった……、と言うこと。
学校から帰ってきても、
「どうだった?」
「別に」
「楽しかった?」
「普通」
以上。
という、どこかのドラマで見たようなやりとりが、ほんとーに起こっていました。
色々と質問を変えてみるけど、反応が薄い。
そもそも、僕とはあまり話したくなさそうだった(笑)。
娘と話したい。
娘をもっと知りたい。
娘とつながりたい。
でも、どうすればいいのか分からない。
手探りの日々が数年、続いていたように思います。
映画を作り終えた今、僕が一番嬉しく思っている事は、娘と普通に対話ができるようになったこと、です。
今では、学校の事やお友達の事、勉強の事、将来の事、好きなアイドル(BTS一択ですがw)など、割と何でも話してくれます。
大きかったのは、映画を作りながら、「子どもとどう話すのか?」と言うことを僕自身が自然と学んでいったからだと思います。
映画作りは、身体的スキンシップが減っていった親子関係を、「対話」という精神的スキンシップで、新たに構築し直すプロセスでもありました。
映画『こどもかいぎ』には、子どもとどう対話をするのか、人とどうつながっていくのか、人はどう育つのか……、手がかりが満ち溢れていると思います。
子どもたちは答えを教えてくれません。
でも、きっと、ヒントをくれているはずです。