もくじ

ご注意点


■『こどもかいぎ』による子どもの変化
〜ゆっくり変わっていく姿をお楽しみください〜



子どもたちは基本的に「対話をすること」が大好きですが、『こどもかいぎ』は特効薬ではありません。

お子さんによっては、『かいぎ』に慣れるまで時間のかかる子もいますし、得意ではない子もいます。

全般的には、子どもたちがファシリテーターや子どもたち同士で話し合えるようになるまで、少なくとも3ヶ月程度、場合によっては半年、一年かかることも考えられます。

数回やってみて、「全然話し合えない」「座ってお話なんてやっぱり子どもには無理だった」「私のやり方が悪かったのか……」とは思わないでください。

ちなみに、映画『こどもかいぎ』の中でも、『かいぎ』としての何となくの「形」ができるまでに半年はかかっていたと思います。

いきなりクラス全体ではなく、ある程度、うまくいきそうな子どもたちで、少人数から始めてみるのも一つの考え方です。ファシリテーターも早く慣れますし、周りの先生や保護者、そして子ども自身も効果を感じる可能性が高まります。


また、映画の中にも出てきますが、全く発言できなかったお子さんが、5回目くらいの参加でようやく発言できるようになった後、言葉が溢れてきた例もあります(詳しくはこちらより)。

まだ言葉を学んでいる最中の子どもたち。場合によっては大人でも難しい『かいぎ』です。

「うまく回っていくまで数ヶ月はかかるかな……」くらいの軽い気持ちでスタートし、ぜひ温かい目で見守りつつ、継続していただけたらと願っております。

■『こどもかいぎ』の「罠」: ご注意いただきたいこと



・「積極的に話せる子が良い子」にならないように……

『こどもかいぎ』をやっていくうちに、大人側には「積極的に話せる子が良い子」、「あまり話せない子や集中力が続かない子が悪い子」という評価の視点が、無意識のうちに形成されてくることがありえます。

ご存じのように、子どもの発達には一人一人、大きな差がありますし、話す子もいれば、聴く方が得意な子もいます。子どもたちは多様性の宝庫です。

映画にも出てきますが、話さない子の中にも、参加しながら自分の思いをふくらませている子、その場で話さなくても、他の場でそれを口にする子もいます。

「なんであの子はあれだけしゃべれるのに、この子は話せないんだ」といった、子ども同士を比較するようなことはすべきではないですし、それぞれの子どもには成長のペースがあり、多様な参加のあり方を根っこに置いた上で、『こどもかいぎ』をやっていただきたいと願っています。


・子どもの発言の一部を切り取って、大人の都合で利用しないように……

実際にそういう人がいたわけではないので、あくまで憶測になってしまうのですが、子どもの発言内容を大人側が勝手に解釈したり、一部を切り取ったりすることで、例えば、「『かいぎ』で〇〇って言ってたじゃない」などのように、子どもを説得する材料に使うようなことは、避けていただいた方が良いのかなとは思っています。


・アピールのために『こどもかいぎ』を利用しないように……

これも憶測ですが、例えば、実績をアピールするために、「あなたのお子さんはこんなスゴい発言をしていましたよ!」「こんなに成長しましたよ!」と保護者に大袈裟に報告したり、大人が求める答えだけを拾って資料を作ったりしてしまうと、本来の『こどもかいぎ』の目的とズレてしまいます。

参加した子どもたちがどのくらい成長したかの効果測定も必要なことだとは思いますが、自分達のために子どもや『こどもかいぎ』を利用してはいないか、ぜひ意識していただけたら嬉しいです。

■『こどもかいぎ』で想定される残念な体験



正直にお伝えすると、『こどもかいぎ』によって、以下のような残念な出来事は考えられます。


(子ども側)

・話したい内容をうまく言葉にできない
・特定の子ばかり話して退屈な気持ちになる
・手を挙げたのに指してもらえない
・椅子に座り続けたり、順番を待って発言をすることが難しく、ファシリテーターにネガティブな受け止め方をされてしまう
・自分の発言を否定される


(大人側)

・うまくファシリテーションできず、自信をなくしてしまう

「『こどもかいぎ』での敗北感……」もお読みください。


このようなことを出来るだけ避けてもらうためにも、本トリセツをご活用いただきたいと願っています。


その他、以下をご参考ください。

ファシリテーターの7つのNG対応

ゼロから始める『こどもかいぎ』で起こりうる3つの(心配な)こと

『こどもかいぎ』あるあるハプニング集

初めての『こどもかいぎ』への3つの工夫


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