つるの剛士さんのお父さまが亡くなられたそうです。
心よりご冥福をお祈りいたします。
つるのさんとは、映画『うまれる』のナレーションを担当いただいたご縁で、
いろんな事をお話させていただく機会に恵まれました。
家族のこと、子どものこと、出産、育児、パートナーシップ、仕事、夢を実現すること、、、
などなど、話を聞けば聞くほど、「おバカ」なんて世間で言われているのが嘘のように、
頭脳明晰で感性豊か。
ご自分の考えがはっきりしていて、
とっても前向きで、同じ空間を共有していて本当に気持ちがいい。
真面目だけど、おちゃらけた部分も合わせ持つバランス感覚など、
人間として大きく、そして美しい。
ちょっぴり年下ですが、とても尊敬できる方だなぁと感じました。
そんなお人柄にとても興味を持ち、僕は
「どうやって、つるの剛士という人間が出来上がって行ったのか」
を探るべく、色々な質問を投げたのですが、
その時に大きくそそり立ったのが、お父さまの存在でした。
つるのさんは、小さい時からご両親が仲良く過ごす姿を見、
そしてたっぷりと愛情をもらいながら
育ったことによって、
「根拠のない自信」
(本人談)が持てるようになったと言います。
つまり、
「自己肯定感」
が常にあったので、他の人に嫉妬をしたりする必要もないし、
自分を認めてもらうため、愛されるために、誰かに何かをする必要がなく
育ったのだろうなぁと、僕には想像できました。
僕は人間の根本的な社会的欲求は、
「認められる」と「愛される」
ことの2つだと感じています。
究極的には、この二つの欲というか、
これによって作り出される心の隙間を満たすために、
人は心の臓を動かしている気がしています(もちろん人によって違うと思いますが)。
僕なんか正にそうでした。
僕の過去についてはご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、
僕は両親から「愛された」「認められた」という記憶のないまま育ったため、
他の人に「認められたい」「愛されたい」という無意識的欲求が強烈にあったように思います。
そのため、
人間としてのバランスがとても悪かった。
色んな人に迷惑をかけ、うざがられ、嫌われました。
そして、付き合う女性は僕のことを120%認めてくれて愛してくれる人のみ。
純粋に自分のやりたい夢を追うというよりも、そこに必ず、
誰かに「認められたい」「愛されたい」という
裏の欲求が存在せざるをえなかったのです。
そんな僕も、映画作りを通して『うまれる』という原点に触れることによって、
ようやく親から「愛されている」「認められている」ことを感じることが出来ました。
この映画を作り終わり、完成披露試写パーティのときに、父親が
「誇らしい息子を持ちました」
とスピーチしてくれた時に
僕の37年間の葛藤はすべて消化したんです。
「愛されたことがないからどう愛したらいいのか分からない」という気持ちから、
子どもを持つことに不安と恐れを持っていた僕が、
いまは120%、子どもを愛し、そして認められる準備が出来ています。
つるのさんや妻の牛山プロデューサーなど、
親に認められ、疑問なく愛された方々は、何というか、僕と違って(笑)、人として表裏がないというか、
自然と人に好かれるナチュラルな魅力を持っていて、
行動原理に「認められたい」「愛されたい」というものがなく、
本当に自分が好きだからやりたい、という心からの望みで生きているように
見えるんです(もちろん人それぞれですが)。
もちろん、葛藤やわだかまり、トラウマから「うまれる」ものもたくさんあります。
映画『うまれる』は、そういう僕の暗い過去から産まれたものです。
でも、自分の子どもに
トラウマから何かを産み出す人になってもらいたいか、
もしくは、
本当に心から自分の好きなことをしながら何かを産み出す人になってもらいたいか、
と心に問えば、
自分が頑張らないといけないことはたくさんあるなぁと気づかされます。
そんな、つるのさんとお父さまとの関係を聞かせていただき、
数日前に娘を授かった僕は、色々と思いを馳せるのであります。
つるのさんのお父さま
僕はあなたにお会いしたことはありませんが、もの凄く大きな影響と愛をいただきました。
天国でもお幸せにお過ごしくださいませ。
つるのさんのブログ
http://yaplog.jp/tsurutake/archive/1546
つるのさんのお父さま死去を報じたニュース
http://www.oricon.co.jp/news/entertainment/82347/full/
つるのさんの周りには素晴らしい仲間がたくさんいて、心強いですね・・。つるのさんの心の悲しみを思うと何もしてあげられない今はとてもつらいですが・・、どうか悲しみを乗り越えて、お父様のためにも頑張ってください・・。