家族と過ごした時間だけ老後の面倒を見てもらえる

先日、ホスピス・緩和ケアについてメールマガジンやブログで書かせていただきましたが、こんな体験談が届きました。

素敵なお話でしたので、ご本人に許可をいただいて
皆さまとシェアさせていただこうと思います。

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私は1月7日に女児を出産し現在産休中ですが、
仕事をケアマネージャー(介護サービスの計画を作成し、ヘルパーなどに派遣する仕事)をしており、その前には在宅でヘルパーをしていました。

私の受け持った山田さんという90代のおばあさんの話です。

山田さんは末期がんで【余命3か月】と家族から聞いて、
本人には病名は知らされていない状態でした。

病院で手術を勧められたけれど、
本人は「そんなに切り刻まれたくない」と拒否。

本人はとっても気丈な方で、おうちに伺うと詩吟を披露してくれたり、
おやきをくれたり、私を孫のように慕ってくれていました。

足が痛むといえば足の裏をもんであげたり、
詩吟の教室に行きたいというのに付き添ったり、
写真をたまには撮ろうね、と一緒に撮ったり、、、。

余命3か月と聞いていたのに、
山田さんは2年後の私の結婚式の写真を眺め、
「これちょうだい」と嬉しそうに何度も眺めたり。

途中、ケアマネージャーの資格が取れたら
私は山田さんの担当になりました。

1ヶ月に1回、会えることが楽しみでした。

出会って3年後、妊娠した私のお腹をなでて

「生まれたら連れてきてね。転ばないようにね。」

と自分を顧みず、心配してくださいました。

去年は寒く、自宅で一人で生活するのが困難になり、
共同生活のできる施設に入所した際、

「忘れてしまうからここに名前を書いて」

と私に油性マジックを差出し、
掌に書いた私の苗字を何度も読み返してはうれしそうに

「元気な子供を産んでね。抱けるのを楽しみにしてるわ」

と大きくなったお腹をなでてくれました。
もう、起き上がるのも支えなしでは出来ない状態だったのに、
その日は娘さんに抱えてもらいながら上半身を起こして・・・。

にこにこ笑うその顔に何度励まされたことか。

私が産休に入るから、
ケアマネージャーを引き継ぐね、とお願いして2週間ほどした日に亡くなりました。

もし、病院に彼女がそのまま医師のいうとおり手術をうけて治療をしていたら、
これほど長くは生きられなかったと思うのです。

生きたいように生きる。

食べたい物を食べて、無理だってやってみる。
気力が命と体をひっぱっていったということもあると思います。
彼女の生き方に今でも考えさせられることが多くあります。

高齢者介護をしていると、
人生は帳尻が必ず合うようにできているということを深く感じます。

家族に愛情を注いできた人は

家族と過ごした時間だけ、

老後の面倒を見てもらえます。

逆の人もまたしかり。
見放されて、さみしく老後を過ごす人も多くいます。

誰かにかけたやさしさは、ほかの人に返してもらえるのです。

ケアって人から受けるのではなく、
自分で「生きていく」ことも含まれると思います。

元気に生まれた娘はもう少ししたら
山田さんの仏前につれてあいさつに行こうと計画中です。

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「家族に愛情を注いできた人は、家族と過ごした時間だけ、
老後の面倒を見てもらえます。」

というところ、
多分、そうなのだろうなと思います。

10歳までに過ごした時間と
孫を連れて来てくれる時間とが比例しているような気がして、
僕はいまからがんばっています(笑)。

IMG_3753_1.jpg 監督・父
豪田トモ

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