何度かホスピスについてご紹介させていただきましたが、
在宅ホスピスの専門医:小澤竹俊先生
http://www.umareru.jp/blog/2012/03/post-670.html
「支え」が今を生きる力になる
http://www.umareru.jp/blog/2012/03/post-683.html
余命を宣告される方はお年寄りだけではありません。
残念ながら、
完治しない病で亡くなられていくお子さん
もいらっしゃいます。
イギリスなどでは「小児ホスピス」というものがありますが、
日本にはまだ存在していません。
そんな中、歴史を変えようと
日々、邁進されている方がいらっしゃいます。
NPO法人「VIVACE」代表であり、
「財団法人海のみえる森」事務局長の甲斐裕美さんは、
日本で初めての小児ホスピスを作ろうと、
取り組まれてきました。
その試みは現在、最終段階に到達し、
オープンは来年。
準備でお忙しい中、
お時間をいただきました。
甲斐さんの施設、「海のみえる森」は
神奈川県・大磯駅から歩いてすぐの小高い丘の上にあります。
周囲をマイナスイオンたっぷりの木々に囲まれ、
海も望める、理想的でいて幻想的な環境。
元々は高級料亭を改築したそうなので、
視覚的にも日常とは別世界に入り込めます。
子どものホスピスとは、大人のためのホスピスとは若干異なり、
最後を迎える場所というよりも、
重い難病や障害を持っているお子様とご家族への、
レスパイト(一時預かり、ショートステイ)
に近い、宿泊施設です。
費用はすべて寄付金でまかなわれることを目指しており、
宿泊期間中は看護士さんが常駐します。
現実の世界からちょっと離れて、
山に登り、波の音を聞き、美味しい食事をし、
そして、ほっと一休みする。
つきっきりの介護を続けている親御さんにとっては、
子どもを預けている間に
一人になれたり、
お昼寝が出来たりもする
癒しの空間になります。
こういった、日常では「当たり前」とされている事も、
なかなか出来ない状況のママも多くいらっしゃるようです。
甲斐さんも、お子様のケアに一生懸命で、
一緒に家族旅行なんていたことがない、
公園デビューもしたことがないという方々にも
ご利用いただきたいと語られていました。
2010年12月にNHKで放映された
『ある少女の選択』
(ディレクター: 八幡祐子さん)
は、幼い頃から重い病気に苦しみながらも、
最先端の医療に支えられ命をつないできた田嶋華子さんが、
「これ以上、延命治療はしない」
と選択し、そして亡くなっていくまでを描いた
ドキュメンタリー(素晴らしい作品です!)。
その華子さんが最後にご家族と旅行に来たのが、
ここ「海のみえる森」でした。
華子さんが旅行の感想を聞かれて
「親が喜んでいる姿が見られて嬉しい」
と語られていたように、
この施設に訪れた子どもたちの多くが
「親が笑っている姿が見れたことが一番嬉しかった」
と語るそうです。
どんな小さなことでも良いのですが、
子どもたちが、何かを親にしてあげるということが、
残念ながら子どもを先に看取ることになる親にとって、
とても重要なステップにもなるそうです。
「海のみえる森」では、
病院ではすることのできない、
子どもの心を解放させ、
パパとママが癒されることを提供したい、
という思いで、来年の開業に向けて、絶賛準備中です。
◆ 大磯子どもホスピス「海のみえる森」
http://www.umimori.org/
◆ NHK『ある少女の選択』
http://cgi4.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail.cgi?content_id=2977
※ 子どもホスピスや小児医療に関する情報などございましたら、
こちらにメールいただけると幸いです。
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