求められる「悲嘆教育」

現在、映画スタッフの親御さんが危篤になり、
家族や親族が呼ばれている状態です。

早く良くなって出来る限り、長く一緒にいたいという気持ちと、
あれだけ苦しんでいるなら楽にしてあげた方が良いのでは、、、

という気持ちが数分ごとに交差しているようで、
僕らも出来る限り、寄り添っていきたいと思っています。

「伝え聞いていたことと、現実には大きな差があった」

という言葉に、
改めて、自分の大切な人たちに思いを馳せました。。。

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悲しいことではありますが、人生をそれなりに長く生きていると、
ほぼ必ず、祖父母や父母、夫・妻、場合によっては友人・知人、子供の死などの

「死別」というものを体験します。

また、「死」という別れではなくとも、
離婚や予期しない仕事の喪失、夢が叶わなかったなど、

【人生は「喪失体験」の連続】

です。

僕は映画『うまれる』の製作を通して、流産や死産、不妊、虐待、障がいなど、様々な「喪失」を体験した方と出逢う機会をいただきました。

僕らが取材・撮影させていただいた方のほとんどは、

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辛い体験を記憶から削除しようとするのではなく、
遭った事を「受け入れ」、そして「共存する」事を選択し、
平和な日常を取り戻されている
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ように見えましたが、
一方、

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世の中の多くの方が、
極度の悲しみから立ち直る事が出来ず、
また、その方法も分からずに悩んでいらっしゃる
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ようです。

自力で立ち直れる方は良いのですが、
悲嘆の度合いによっては、
自ら命を絶ったり、ウツになってしまったり、
極端な例では、犯罪に走ってしまったり、、、という方もいるようです。

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喪失体験のダメージによって、
貴重な人材が活動できなくなる、働けなくなる、というのは、
社会にとって、また、会社にとっても、大きな損失
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です。

こうした「喪失」からの「回復作業」はすべて個人の力量に任せられてしまっているのが、現在の日本社会の現状と危うさの一つかもしれませんが、

僕は早いうちから「悲嘆教育」も必要なのかなと思い始めています。

小学校、もしくは中高生の間に、

・悲しみということ
・苦しみということ
・人が死ぬということ
・何かを失うということ

そして

・その現実とどう向き合うか

ということを伝える文化を作っていくことによって、
将来的に救われたり、早く回復できる方も出て来るのではないかと思います。

こういった事を「教育」にするのは馴染まないという考え方もあるかもしれませんが、
今までの既成概念に囚われず、

【「知っていたら助かった事」は教育になる可能性は十分あります】

し、

【人は極度の悲しみや苦しみを一人で乗り越えられるほど強い生き物ではない】

と思うのです。

ちなみにこのような活動は

「いのちの授業」

「デス・エデュケーション」

と呼ばれていて、ホスピス医の小澤竹俊先生や牧師のアルフォンス・デーケンさん、子どもホスピス「海のみえる森」の代表・甲斐裕美さん等が活動されていらっしゃいます。

教育と支えって本当に大切です。

◆ 小澤竹俊先生の「ホスピスから学ぶいのちの教育」

http://www4.ocn.ne.jp/~zaitaku/inochi.html

◆ アルフォンス・デーケンさんの「デス・エデュケーション」
http://members3.jcom.home.ne.jp/deeken-class/

◆ 甲斐裕美さんの「命の授業」
http://www.ikiruchikara.org/irai.html

僕もうつや離婚を経験した時にこういった事を知っていれば、もう少し苦しみが減ったかなぁと思いますが、同時に、

【その時の経験があるから今の自分がある】

という気もします。

監督・父
豪田トモ

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