【取材】日本的な終末期施設を目指す、あそかビハーラ・クリニック

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「ビハーラ」という言葉を聞かれた事はありますか?

人が最期を迎える場所として、
「ホスピス」という言葉は聞かれた事のある方は多いと思いますが、
「ホスピス」が元々はキリスト教精神によって作られた終末期施設であると定義するならば、

【「ビハーラ」は「仏教版ホスピス」】

になります。

「ビハーラ(vihāra)」とは、
サンスクリット語で僧院、寺院あるいは安住・休養の場所を意味し、
現代では

【末期患者に対する仏教ホスピス、または苦痛緩和と癒しの支援活動】

を差します。

「ホスピス」は、1973年に日本に初めて導入されて以来、
徐々に拡大し、現在では200カ所以上に増えているのに対し、

「ビハーラ」は今のところ、
国内では新潟県長岡市と京都府城陽市の2カ所のみになります。

【仏教の目的は、「生老病死の苦を乗り超える事」】

にあるとされていますが(簡略化してすみません)、
現代では、仏教的活動がほぼ「お葬式」に限定されてしまっている、
という反省から、

「ビハーラ」という施設を介して、人が最期の時を迎える際に、
【仏の道に出来る事は何か】、を探索されているようです。

先日、京都にある「あそかビハーラ・クリニック」にお伺いし、
素晴らしい経験をさせていただきましたので、皆さまにご報告したいと思います。


IMG_5506.jpg ※ 最期を迎える方々が暮らし、そして旅立つ病室です。とても綺麗です。

京都駅より南に約1時間。

城陽市に構える「あそかビハーラ・クリニック」は、
浄土真宗本願寺派によって、2008年に設立されました。

新潟県にある「長岡西病院ビハーラ病棟」に次ぎ、
国内では2番目のビハーラ施設になります。

一番上の写真をご覧いただいてお分かりのように、
外観からは「お寺」という雰囲気はなく、どちらかと言うと、
「芸術的な造りをした病院」という印象です。

満19床でスタッフは約25人。

ドクター、ナース、僧侶、ソーシャル・ワーカー、栄養士など
様々なスキルを持った方々によって、
緩和ケアを中心としたチーム医療が進められています。

ビハーラは終末期施設であるため、
治療をする「キュア」というよりも、緩和医療によって痛みを和らげる事で、
より人間的な生活を営みながら最後を迎えるための「ケア」に重点が置かれています。

仏教施設ではありますが、宗教の違いは全く問われず、
院長は仏教徒ではありませんし、当然、勧誘される事もありません(笑)。


IMG_5503.jpg ※ 新堀師長と。とっても明るく元気でオープンな女性!

ビハーラは、人の旅立ちを見送る施設であるため、
医療従事者の方々への精神的な負担は、時に大きなものとなります。

通常、死と向き合う事の多い医療従事者は、
患者さんとは適切な距離を保った上で、
感情的な深入りをしすぎないように、取り組まれると聞きます。

毎日の生活の中で、当然、患者さんと心を通わせる事も多くなりますし、
もし亡くなったり、病状が悪化したりすれば、

当然、悲しく、辛く、苦しい。

そのような状況の中で、プロとして支障なく業務をこなし、
患者さんのサポートを続けるためには、
そのような対応も必要である事は、よく分かります。

これは良い悪いではありません。
医療従事者の方々も人間です。

しかし、僕が「あそかビハーラ」で驚いた事の一つは、

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医療従事者も涙を流す事をためらわず、
泣きたい時は泣こう、という姿勢を貫かれている
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事です。

施設にいた方が亡くなられれば、皆で泣き、
故人のご家族を招いてお別れ会をします。

亡くなられた後は、通常、ご遺体は葬儀屋さんによって運ばれ、
お通夜、お葬式と営まれるので、
医療施設でお別れ会をする事は、まず、ないのではないかと思います。

これも「あそかビハーラ」の特徴の一つです。

IMG_5498.jpg ※ お別れ会が行われる、ビハーラ・ホール

このように、感情に素直に向き合いながらも、
継続的に、そして前向きに仕事を続けて行くのは大変な事ではないかと思うのですが、
「あそかビハーラ・クリニック」ではスタッフ間のサポートをとても大切にされていました。

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敬愛する在宅ホスピス医の小澤竹俊先生が

「誰かを支えようとする人こそ、
一番、支えを必要としている」

と常日頃からおっしゃっていますが、

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最高のサービスを提供するためにも、
医療従事者の間で支え合う姿勢は、非常に大切
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なようです。


IMG_5488.jpg ※ スタッフが一人になれる部屋も用意されています。

これは医療従事者だけでなく、
映像を作る僕らも同じだし、家族もそうだし、
どの仕事にも共通するなぁと思いました。

※ あそかビハーラ・クリニックに関するブログ

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【取材】ビハーラ僧による日本的終末期施設の「美意識」

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【取材】「死ぬ姿を見せるのは、親が出来る最後の子育て」

監督・父
豪田トモ

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