※ 左が鎌仲さん、娘の詩草(しぐさ)はお昼寝です♪
鎌仲ひとみさんというドキュメンタリー映画監督をご存知ですか?
僕はいつも大変お世話になっている方なんですが、
鎌仲さんが
テレビ番組の制作を止めて映画というメディアに絞った理由を聞いて、
ハッとしました。
鎌仲さんは2000年頃、
「イラクの子どもたちが白血病で亡くなっている」という取材に、
某テレビ局の契約ディレクターとしてイラク入りしました。
当時のイラクは、今の東京よりも放射線量が低かったのだそうですが、
調べてみると、
【アメリカが落とした「劣化ウラン弾」という弾薬から高い放射線が出ている】
可能性が分かりました。
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劣化ウラン弾は放射性廃棄物から作られていて、
年換算で33ミリ・シーベルトと、
国際的基準の年間1ミリを大幅に越える線量だった
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そうです。
この劣化ウラン弾が周りに転がっている状況で
生活していたのが原因だったのか、
イラクの子どもたちは次々と、
血液のガンである白血病にかかっていった
そうです
(当然、アメリカは関連性を否定)。
しかも、当時のイラクは国際制裁により、
WHOや国連から、抗がん剤など治療に必要な医療機器などを
輸入する事が禁止されていたため、
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病気になってしまった子どもは、
「死ぬ」という選択肢しかありませんでした。
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この惨状を「見てしまった」鎌仲さんは
「この事実を伝える事で、日本人の意識が変わって、
必要な支援物資が届けられるかもしれない」
と、死に向かう我が子にカメラが向けられる事に
違和感を抱いていた母親たちを説得し、
撮影の許可をいただいたそうです。
その後、日本に帰って編集が終わったものの、
「子どもたちが白血病になっている原因は、
アメリカが落とした劣化ウラン弾である、という結論の内容では流せない」
と、ボツになってしまいました
(そりゃあ、難しいでしょうね〜。。。)。
鎌仲さんは
「母親たちとの約束を破れない」
という思いから必死に闘い、
最終的にはアメリカ側の主張も入れ、ようやく放映となったそうです。
さぁ、日本の世論はどう動くか。。。
放映。。。
そして、、、
何も、変わりませんでした。
子どもたちを救おうという声も、
もっと知りたいという電話も、
制裁を解除せよという議論も、
何も沸き起こらなかったそうです。
この現実にショックを受けた鎌仲さんが強烈に思った事、それは
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「テレビというメディアは、大勢の人に「情報」は伝えるけれど、
人が意識を変える・行動を起こすためのメディアではない」
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という事。
そして彼女は、イラクで撮りためた内容を再度編集して
「ヒバクシャ」というタイトルで2003年に映画化し、
主に自主上映会という形を通して、メッセージを伝えてこられました
(「ヒバクシャ」は傑作です!)。
映画がどこまで人の行動に影響を与えるのかはよく分かりませんが、
自主上映会は、誰かが「自主」的に開催しなければ上映されない方法なので、
少なくとも、「地域で上映会を開催して、大勢の人にメッセージを伝えたい」
と願う市民を動かす力はあるのでしょう。
このお話を鎌仲さんにお聞きした時、
たぶん、
僕も同じような感じなのかな、
と思いました。
僕は決してテレビというメディアを否定するつもりは全くありませんし、
企画によっては映画よりもテレビの方が、よりメッセージが伝わるのでは?と
思う時も多々ありますが、
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「無料でながら見できるメディア(TV)」と、
「お金と時間を使って監禁状態を受け入れるメディア(映画)」とで、
役割が異なるのは、至極当然の事。
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僕は自分の時間、お金、エネルギーを徹底的に使って、
魂を込めて作品を作りたいので、
出来れば、観ていただく方にしっかりとメッセージをお伝えしたい
という気持ちがあります。
その場合、映画、そして自主上映会という方法は、
いまのところ良い方法なのかなぁと感じています。
鎌仲さんのお話をお聞きして、
今まで以上に「メディアの役割」について考える機会をいただきました。
ありがとうございました!
監督・父
豪田トモ
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