【取材】ご遺体を見ました

先日、自分が葬儀に出席しない方のご遺体を初めて見ました。

在宅医療をされているコンフォート・ガーデン・クリニックの
木下朋雄先生に診療同行させていただいたのですが、

最初に伺う予定だった方が、当日の朝に亡くなられたのです。

口をポカーンと開け、眠るように横たわられていた
ご老人の最期の姿を見て、会った事も、お話した事もない方なのに、

なぜだか感情が高ぶって涙が出そうになってしまいました。

窓際に置かれているギター、

壁の高い位置に貼られている時代劇のポスター、

飾られているサングラス姿のお写真、、、、

長い間、在宅でケアを受けていた事もあって、
御仏の周りは生活感がにじみ出ていました。

とてもご自分に正直に生きてこられた方なのだろうなぁ。

病院で過ごすのが嫌で、家族に反対されながらも、
自宅に戻る事を選ばれたのだろうなぁ。

奥様やお子様たちと色々な事があっても、
最後は許してもらえたのだろうなぁ。

色々な事を思いました。

これが「自宅で逝く」ということなのか。。。

ご家族によると、

ちょうど前日に家族全員が集まって楽しく過ごし、
翌朝、起きたら、静かに旅立っていたとの事でした。

ガンが発覚して1年近くになり、
そろそろ山場であると聞かされていた事もあって、

ご家族にも覚悟は出来ていたようで、悲しみに暮れるというよりも、

「出来る限りの事をして見送る事が出来た」

という安心感のようなものも感じられました。

これから「人生の終末期」をテーマに映画を撮ろうと
しているわけですが、今回の同行診療で

「とてつもないところに足を踏み入れてしまった」

と率直に感じてしまいました。

自分はこんなテーマに挑んで良いものなのだろうか。。。。

長年、親と不仲だった僕は
映画『うまれる』の製作を通して和解を果たす事が出来たのですが、
そうすると今度は「親孝行がしたい」という気持ちになってきて、

「看取りは最後の親孝行」だと思って、
逆算してこのテーマに向き合い始めたわけですが、

早くも押しつぶされそうな感覚を味わっています。

作品が完成しなかったら、、、
ごめんなさい。。。

いや、がんばります。

コンフォートガーデンクリニック
http://www.shokoukai.com/

監督・父
豪田トモ

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