ニコール・キッドマン主演、
ジョン・キャメロン・ミッチェル監督による本作は、
一言で言えば、
【「グリーフ・プロセス」を描いた映画】
です。
以前にもブログ等で書かせていただきましたが、
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最愛の人を亡くした人が、悲しみを受け入れながら、
日常生活に戻る道筋を「グリーフ・プロセス」と言います。
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★ ブログ「愛する人を亡くした方に出来る3つの事」
http://www.umareru.jp/blog/2013/05/3-6.html
< ストーリー >
主婦のニコール・キッドマンは、4歳の男の子を交通事故で亡くし、
それ以来、友人関係、親子関係、夫婦関係のすべてが
うまくいかなくなって、自身も精神的に非常に不安定な状態。
そんな時、加害者である高校生の男の子をたまたま見かけ、
時折会って話すようになった事で、少しずつ、彼女自身が癒されていき、
様々な関係性も再びつながっていく、、、というようなお話です。
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この映画で描かれている「グリーフ・プロセス」は、
おそらく、愛する人を亡くした事のある誰にとっても、
また、周りで支える側にとっても、非常に参考になる
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のでは、と感じました。
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1. 人それぞれ「死」は違うこと(比較されても反発しか生まない)。
2. 向き合う事が癒しの始まりになること。
3. 「現実」だけではなく、「ファンタジー」を信じる事も
重要な助けになること。
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など、ポイントをうまく抑えた設定、構成、展開は、
作り手が心理カウンセラー並の知識と経験がなければ
描けない事が、とってもよく分かります。
以前からブログ等で書かせていただいていますが、
親、兄弟姉妹、夫、妻、子ども、親友、ペット、など、
残念ながら、この世の多くの方は、
一生の間に愛する人の"喪失"を経験します。
遺されるという事は、
人間の精神にとって特大のインパクトを放つもので、
グリーフ・プロセスの進み方によっては、
人生は大きく異なる道に進んでしまう可能性があります。
4月1日に義父を亡くした義母を見て、
強く思います。
敬愛する死生学の権威・アルフォンス・デーケン先生(上智大学)
のご著書には
「54歳以上で妻を失ったイギリス人男性4,486人について調査した結果、
彼らが妻の死後6ヶ月以内に死亡する確率は、
同年代の既婚男性に比べて【40%も高い】」
とも書かれていますが、
非常に頷ける事なのかなと思います。
僕らは
・ 死というものが何なのか
・ 逝かれてしまうという事がどういう事なのか
・ 遺されるという事は、人にどういう影響があるのか
ほとんど全く知りませんし、
そこからどのように回復していけば良いのか、
明確にストーリーのある人はほとんどいないのではないかなぁ、と思います。
映画『ラビットホール』を観て、
改めて、人生にとって非常に重要な「悲嘆教育」の必要性を感じました。
僕もこんな技術力の高い映画を作れるようになりたいものです☆
★ 以前書いたブログ「求められる「悲嘆教育」」
http://www.umareru.jp/blog/2012/08/post-756.html
★ アルフォンス・デーケン先生著「死とどう向き合うか」
http://amzn.to/1aoLWT6
監督・父
豪田トモ
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