映画『うまれる』は小・中・高校と同じく、
家庭で暮らせない子どもたちが住む児童養護施設でも支援金をもとに、
無料で上映していただいています。
ただ、
映画『うまれる』は「子どもが親を選ぶ」という考え方、
胎内記憶をご紹介していますので、
虐待など親子関係の不和が原因で
児童養護施設で暮らす事になった子どもたちにとっては、
諸刃の剣になりかねないかもしれないな、と感じていました。
色々な経験をし、大人になって判断のつく年齢になれば、
胎内記憶も、「ひとつの考え方」として受け止められる可能性が高まるでしょうし、
場合によっては僕のように、
自身の親子関係を見つめ直すきっかけになるかもしれません。
次回作のリサーチも兼ねて、
ここ2年で、乳児院、児童養護施設、児童福祉の活動をされている方々
50人以上の方にお話を伺い、色々と考えた末に、
胎内記憶の部分をすべてカットした
「児童養護施設バージョン」というものを作って、
昨年の夏からご提供しています。
映画の中で胎内記憶について論じていただき、
僕自身、映画『うまれる』を製作する大きなきっかけになった産科医・池川明先生にも
相談したところ、快く快諾してくださいました(先生は本当に心の広い方!)。
★ ブログ「「児童養護施設バージョン」を作成いたしました」
http://www.umareru.jp/blog/2012/07/post-753.html
その後、10カ所程度の児童養護施設で
映画『うまれる』を上映いただく機会がありましたが、
ちょっと驚いた事があるんです。
それは、
どちらを見せるかは、各施設におまかせしているのですが、
意外に「児童養護施設バージョン」を見せておらず、
胎内記憶について論じた「完全版」の方を見せている事が多いのです。
そして、その結果、分かってきた事は
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胎内記憶について否定的に捉えている
子どもたちは実はほとんどいなかった
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という事です。
いつもは1時間以上、座っている事の出来ない子どもたちが、
しっかりと集中して映画を観て、その後、
びっしりとアンケートを書いてくれたのも驚きだったそうですが、
胎内記憶の意味する事について、
バタンと扉を締めるのではなく、
多くの子どもたちが、普段避けがちな親子関係について
真剣に考えるきっかけとしてくれている
ようなのです。
こうした報告が続々と届くにつれて、
改めて感じたのは、
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子どもは僕ら大人が思っている以上に、
しっかりと自分で感じて考えて判断する事が出来るのでは
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という事です。
「子どもに良くない」
「子どもが傷ついてしまうのでは?」
と
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気遣って体験させないのが愛情であれば、
子どもを信じて経験させる、というのも、
同じように大切な愛情
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なのかな、とも感じました。
また、
これは「見せる・見せない」というレベルの話ではなく、
・向き合うこと
・受け止めること
・支えること
という話なのかな、とも思いました。
普段から子どもに向き合っていれば、
どういう反応だったとしても、
受け止められるし、
子どもを支える事が出来る。
そして、そういう環境にいる子どもたちは、
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たとえ傷つく事があったとしても、愛情という薬によって、
かさぶたが「人生の貴重な経験」として昇華される
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という事を本能的に分かっているのかな、とも思うのです。
また多くの事を子どもたちに教えてもらいました。
監督・父
豪田トモ
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