※ 虎ちゃんに自分の写真を見せるとニッコリします☆
現在、以下のテーマで次回作の製作に取り組んでいます。
・人生の終末期 (ホスピス・緩和ケア・介護)・闘病
・不妊症・不育症
・血のつながりのない家族
・親子関係と愛着障害
・乳児院・児童養護施設などの要保護児童
様々な方々にご協力いただいて、
撮影は少しずつ始まっていますが、
【いま難しさを感じているのが児童養護というテーマ】
です。
実の親に育てられていない「要保護児童」のお子さんたちを
撮影させていただく場合(多くは乳児院や児童養護施設で暮らしており、
一部は里子、養子として育てられています)、
・ご本人
・実の親
・施設職員および施設長もしくは里親・養親
・管轄の児童相談所
・管轄の都道府県の担当部署
の5箇所から撮影の許可を取らなければなりません。
そして、
約2年ほどリサーチしたところ、様々な理由から
「東京都内ではまず撮影の許可がおりない」
という事が分かってきました。
理由は、
・子どもが現実を知る事で傷つくかもしれない
・子どもを育てていない酷い親だと言われるかもしれない
・子どもにとって撮影が精神的な負担になるかもしれない
・子どもが将来、撮影された事を後悔するかもしれない
・作品を見た他の子どもや大人たちから差別されるかもしれない
・このようなリスク要因に対する責任を取らなければならないかもしれない
などなど。
いずれも理解できるものです。
僕らの製作方針からは
【このリスクが現実になる可能性は極めて低い】とは思っているのですが、
それでも、リスク要因としては残ります。
現在は東京都以外で撮影させていただける施設を
探し始めたところです。
ただ、運良く撮影をさせていただける事になったとしても、
「18歳未満の子どもに撮影を許可する判断能力があるかどうか」
という課題は常に残ります。
この点は多くの児童養護関係者の方も懸念しており、
僕らも心配している点ではあります。
映画に出演するという事の意味や重大さはよく分からないかもしれませんし、
前述のように、
数年後に後悔するような事態にならないとも限りません。
それは映画が特大のヒットをした時に限りますが
これまでもドキュメンタリー映画に出演した事によって、
人生に大きな影響を与えられてしまった方は、
映画史上、数人程度いらっしゃいます。
特にアメリカのマイケル・ムーア監督の映画は世界的に大ヒットしたので
(「ボウリング・フォー・コロンバイン」や「華氏911」など)、
出演された方々はかなり大変だったのではないかと思います。
日本では大ヒットしたドキュメンタリー映画というのが
戦後60年で10本あるかどうかなので、
ドキュメンタリー映画に出演して知られるようになった一般人は、
「ゆきゆきて、神軍」(1987)の奥崎謙三氏と、
最近では「エンディング・ノート」(2011)の砂田知昭氏くらいかなと
推察しています(両作品とも日本のドキュメンタリー映画で興収1億円を
突破した2本の映画のうちの2本)。
映画やテレビなどの映像メディアは影響力がある分、
常に、【ご出演いただく方の人生も背負う覚悟が必要】です。
とは言え、児童養護の現状を多くの方々に知ってもらい、
子どもたちの未来を救っていくのにあたって、
メディアが出来る事は多くありますし、
特に映画・映像は大きな役割を担えるとも思うのです。
つまり、
とても傲慢な聞こえ方になってしまうかもしれないのですが、
「映画を作らない事で児童養護の現状を知る人・変えようとする人が増えず、
結局、子どもたちの現在の生活や未来が好転しないというリスク」
もあるかもしれないのです。
施設出身の方々とお話すると、
「そんなリスクは僕たちは気にしない。もっと知って欲しいから、絶対に映画を作って欲しい」
と、ほとんどがおっしゃいます。
それは自分が歩んで来た道をあまり多くの子どもたちに経験させたくない、
という気持ちと、メディアの役割に対する期待感からかと思います。
「映画に出演した事によって、人生が悪い方向に行ってしまった」
というリスクと、
「映画を作らない事で児童養護の現状を知る人・変えようとする人が増えず、
結局、子どもたちの現在の生活や未来が好転しない」
というリスク。
何をするにもリスクはつきまといますが、、、
迷っています。。。
監督・父
豪田トモ
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