「つんく♂さんの喉頭がんについて」2: 「がん」とは何者?
● 「腫瘍(しゅよう)」と「がん」って違うの?
身体の中の悪い細胞を総称して「腫瘍」もしくは「がん」と言うのかと、
数年前まで僕自身、勘違いしていましたが、
「腫瘍(しゅよう)」と「がん」とは、若干異なる物です。
「腫瘍」というのは基本的には「おでき」の事で、
・特に問題のないもの (良性腫瘍)
・かなり良くないもの (悪性腫瘍)
に分類され、
「かなり良くないもの(悪性腫瘍)」が「がん」と呼ばれているものです。
● 「がん」とは何者?
「がん」とは一体、何者なのでしょう?
一体、どこからやってくるのでしょう?
答えは、
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「がん」は自分の身体の一部であり、
自分が生み出したもの
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という事になります。
肝臓、胃、子宮など一部を除き、
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ほとんどの「がん」はウイルスなどで感染して突然現れるのではなく、
自分の細胞の一部が何らかの原因で良くない状態になって
「がん」化し、それがだいたい10-20年くらいかけて、
少しずつ仲間を増やし、勢力を拡大していく
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という事のようなのです。
つまり、
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「がん」は発覚した時に突然できたのではなく、
身体の中でずっと育ってきた
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のです。
それが
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医学的に「がん」であると診断されるのは、
がん細胞が現在の技術で、"科学的に"見えるようになる
「約10億個」「約1cm」くらいの量、大きさになった時
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なのです。
怖い話ですね。
でも大事なので続けます。
● 「がん」は積もり積もった遺伝子のコピーエラー
人間は約60兆もの細胞で出来ている、
というのは皆さんもご存知かと思いますが、
身体の中の細胞は、
常に変化、成長、新陳代謝を繰り替えてしており、
皮膚は約1ヶ月、
脳や肝臓、腎臓は約1年、
骨さえも数年で(年齢で大きく異なります)
すべて入れ替わるとも言われています。
ただし、
完全に入れ替わってしまうと、
それこそ、顔も身体の形も声も性格も何から何まで変わってしまいますので、
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新しい細胞が生まれる時は、必ず、
前の遺伝子情報をコピーします。
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赤ちゃんが親の遺伝子をある程度受け継ぐのと、同じシステムですね。
ほとんどの場合は問題なくコピーし続け、
細胞は新陳代謝を繰り返し、
人間として変化・成長していくわけですが、
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ごく稀に遺伝子のコピー作業に失敗し、
エラーが起きてしまう時があります。
これが後に「悪性腫瘍(がん)」と呼ばれる
ものの「卵」に
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なります。
たとえエラーが起きても、
ある程度、人間は自分で修正する力があるので問題ないのですが
(実際、人間の身体の中では毎日、何千回もエラーが起きていると言われますが、
その都度、身体が修正しています)、
何らかの影響で、
その「違法コピー」を削除しきれず、
間違った細胞がどんどん、どんどん増えていってしまう場合がある
のです。
例えて言うなら、
オフィスでコピーをしていた時に、
なぜか間違った内容でコピーされ、
しかもそれがストップボタンを押しても止まらず、
部屋中に紙が溢れてしまう、、、というような状態です。
自分もオフィスから出る事が出来ず、
でも息も出来ないくらい紙が増え続けたら、、、
どうなるでしょう???
次は「がん」はなぜ身体に悪いのか、について解説させていただきます。
http://www.umareru.jp/blog/2014/03/post-1241.html
☆ 今回の「がん」に関する一連ブログはこちら
・ つんく♂さんの喉頭がんについて ・ 「がん」とは何者? ・ 「がん」はなぜ身体に悪いのか? ・ がんの「ステージ」って何? ・ がんの主要な3つの治療法 ・ がん闘病で大切な事: 予防と早期発見、そして向き合う事 ・ 「がん」と「こころ」 ・ がん患者さんに対して私たちに出来る事
< 医療監修: 長尾和宏先生(長尾クリニック・院長、日本尊厳死協会・副理事長、東京医科大学客員教授) > http://www.nagaoclinic.or.jp/
映画『うまれる』監督
豪田トモ