写真:船橋市の水難救助隊紹介より
http://www.city.funabashi.chiba.jp/kurashi/shoubou/0001/p000602.html
(長文です)
夏休みの子どもと家族にとって、海、川、プールは極上の空間。
しかし、水遊びは時に恐ろしい顔も覗かせます。
毎年この時期は水難事故による悲しいニュースが報じられています。
我が子の命を救い、家族の安全を守りたい。
・どのような水難事故が起きるのか?
・どのようにして親は子どもの命を助けるべきなのか?
という点に関しては、どの親御さんも知っておくのは大切かなと思い、少し調べてみました。
※ 昨年も記事を書かせていただきましたが、
とても大切な事だと思いましたので、リサーチし直して再編集しました。
これを読んで「海に行くのをやめよう!」
という事ではなく(笑)、
【家族で幸せな時間を過ごすために必要な知識】
として、頭の片隅に入れておいていただければ、
とっても嬉しく思います!
● 子どもの水難者数はどのくらい?
2013年度夏期(7-8月)の全国での水難事故発生状況としては(警察庁発表)、
水難者数664人に対し、
死者・行方不明者は約42%の282人。
このうち、
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中学生以下の子どもの水難者数は、
全体の約23%(155人)で、
死者・行方不明者は25人(約16%)
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だそうです。
※ 出典:警察庁生活安全局地域課
https://www.npa.go.jp/safetylife/chiiki4/kaki-suinan-sanngakusounan25.pdf
男女別では、事故者総数の78%、死者の82%が男性(静岡県調べ)。
これは、男性の方が泳ぎに自信があったり、また、飲酒後に泳いだり、といったことが原因のようです。
パパたち、油断大敵です。
● いつ水難事故は起きるの?
季節としては、やはり水遊びの機会が増える8月が多く、一年を通しても
【水難事故の約5割が6月~8月の間に発生】
します。
正に、今の時期です。
また、河川の情報ではありますが、
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13時~17時の間に水難事故が発生しやすく、
特に14時~16時が多い
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ようです。
昼飯後、身体は消化にエネルギーを使うため、
無意識のうちに疲労が蓄積する事も関係しているのかもしれません。
※ 出典:河川環境管理財団
http://www.thr.mlit.go.jp/sendai/kasen_kaigan/river-attention/pdf/01.pdf
● どこで事故は起きるの?
子どもの水難事故の発生場所は、
1位: 河川(44%)
2位: 海(40%)
3位: 湖沼地(12%)
で全体の96%を占めています。
※ 出典:警察庁生活安全局地域課
https://www.npa.go.jp/safetylife/chiiki4/kaki-suinan-sanngakusounan25.pdf
行為別では
・水遊び
・水泳中
で、子ども全体の88%を占めています。
※ 出典:警察庁生活安全局地域課
https://www.npa.go.jp/safetylife/chiiki4/kaki-suinan-sanngakusounan25.pdf
● 溺れている人にどう気付くか?
皆さん、この映像をご覧ください。
誰が溺れているか、
お分かりになるでしょうか?
なかなか分からないですよね!?
そうなんです。
私たちは本当に溺れている人を見た事があまりないので、
「すぐそばで溺れている人に気が付かない」
ことは、実はよくあるようです。
毎年、20-30人の子どもが水難事故で命を落としています。
「すぐそばで溺れていた我が子に気づかなかった」
という事を避けるべく、一緒に学んでいきましょう。
● 溺れている人に気付くポイント
実は
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「溺れている人」は、
バシャバシャと水しぶきをあげて助けを呼ぶ、
ということは少なく、「静かに沈んで行く」ことが多い
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のだそうです。
なぜなら、
人間は呼吸ができて初めて声を出せますが、
溺れている人はほぼ息ができない状態なので声が出せない
のです。
また、
自分の意志で腕を動かすこともできなくなっているので、
手を振って助けを求めることもできない
ようです。
【溺れている人に気付くポイント】をまとめてみました。
・ある方向へ泳ごうとしているが進んでいない。
・水の中で手足をバタバタさせている。
・頭が水に沈みかけていて、口が水面に出たり入ったりしている。
・激しい呼吸をしている。
・うつろな目をしている、もしくは目を閉じている。
・しばらくの間、額や目が髪に隠れている。
・首を後ろにそらして、口を開いている。
このような人を見かけた時は、
溺れている可能性がありますので、
声をかけてみるか、すぐに救助を呼びましょう。
子どもと水遊びに行った時には
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水遊びをしている子どもは大抵、声や音を立てています。
もし急に静かになったら、溺れていないか、すぐに確認
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してください。
参考
http://gigazine.net/news/20100910_what_drowning_looks_like/
● 海、川で親が気をつけたいこと
海・川での水難事故の原因は、
1. 急な流れに流された
2. 浅い場所だと思っていたら、突然の深みに足をとられた
という2点が多いようです。
波は時に、想像以上の力を発揮する事があり、
あっという間に流されてしまう事があります。
また、
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「離岸流」という強い流れの場合は、
毎秒2メートル以上になることもあり、
オリンピック選手でも岸に向かって泳げなくなるほど
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のようです。
・子どもたちだけで川原で遊んでいたところ、
川に落ちたボールを拾おうとして転落し、溺れてしまった。
・海で浮き輪にのって遊んでいたところ、離岸流に巻き込まれ、
気がついたら岸からどんどん離されていった。
という事はよく起こるようですので、
ぜひ注意してください。
● 子どもと海・川で遊ぶ時の対策
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・過去にどういう水難事故が遭ったのかを知っておく。
・子どもに自然、水の怖さを伝える。
・前日も含め、現地の天候や川の状況を事前にチェックする。
・ 水かさが増えている、濁っている、 流れてくるモノが多いなどの場合は、水に近づかない。
・強い雨が降った後は予想外に増水する事があるので、水から離れる。
・子どもだけで水に入らない。
・ 泳ぐ時は、浮き輪やアームヘルパーなどの浮き道具を身につける。
・子どもから目を離さないようにし、 水遊び中は必ず大人が「すぐに助けにいける距離」で付き添う。
・「誰が子どもを見ているのか」を明確にし、交代してもらう時は相互理解を大切にする。
・定期的に休憩をしながら水遊びをする。
・泳いではいけないところでは泳がない。
・岩場からの飛び込みはしない。
・ 監視者がいたら、指示や注意を守る。
・監視員さんに期待しすぎず、親が責任を持って子どもを見る。
・ サイレンがなったりした時に「見学」に行かない。
・飲酒をしての遊泳は絶対にしない。
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● プールで親が気をつけたいこと
子どもとプールに行った時に親が気をつけたいのは、
1. 溺れる
2. 飛び込み
3. プールの排水口
の3つです。
1. 溺れる
小さな子どもは必ず大人がすぐに助けに行ける距離で遊ばせ、
とにかく目を離さないのが鉄則。
【浮き輪をしていても、浅くても、子どもは溺れる】
時があります。そして
【子どもは親の予測しない行動をとることがよくあります。】
「あれ?◎◎(子どもの名前)はどこ?」
「お前が見てたんじゃないのか?」
夫は妻が子どもを見ているものだと思い、
妻は夫が見てくれているものだと思い、、、
というのは、いつ、どこでもありがちですので、
油断せずにご注意ください。
2. 飛び込み
飛び込んだ時にプールの底や壁面に頭を強く打ちつけてしまう事故は、例年発生しているようです。
3. プールの排水口
興味本位で金網を引っ張ったら、排水口が外れて、
小さな手や足が吸い込まれてしまった、、、
という想像もしたくない不幸な事故は過去に何度か起きています。
● 子どもとプールで遊ぶ時の対策
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・飛び込みは許可されている場所だけで行う。
・排水口の場所を確認し、近づかない。
・子どもに自然、水の怖さを伝える。
・子どもだけでプールに入らない。
・泳ぐ時は、浮き輪やアームヘルパーなどの浮き道具を身につける。
・子どもから目を離さないようにし、水遊び中は必ず大人が「すぐに助けにいける距離」で付き添う。
・「誰が子どもを見ているのか」を明確にし、 交代してもらう時は相互理解を大切にする。
・定期的に休憩をしながら水遊びをする。
・ 監視者がいたら、指示や注意を守る。
・監視員さんに期待しすぎず、親が責任を持って子どもを見る。
・飲酒をしての遊泳は絶対にしない。
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● 溺れている我が子を見つけたらどうする?
万が一、溺れている我が子を見つけた時の対策です。
1. 落ち着いて助けを呼ぶ。
2. すぐに110番・119番に連絡する。
3. 一人で助けに入らない。
4. 近くにある棒や浮き輪、ロープ、板、自分の服、ペットボトルなど浮き輪代わりになるものを渡す。
5. 自分が水に入らざるをえない場合は、自分の手は岸につかまり足を掴んでもらうようにしたり、その場にいる人たちと手をつないでヒューマン・チェーンを作る。
6. 一緒に溺れてしまわないよう、背後に回って抱える。川の場合は、下流に先回りして体で受け止められる。
もし子どもが溺れてしまったり、または溺れている人を見つけた時に
むやみに飛び込み、助けに行くことは、二重事故につながる恐れがあります。
【パニックで暴れる相手によって、助けに行った側が溺れる】
という事故はこれまで何度もあります。
とは言え、
我が子が溺れている時に何もしないというわけにはいかないので、
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6. 一緒に溺れてしまわないよう、背後に回って抱える。
川の場合は、下流に先回りして体で受け止められる。
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という点だけでも覚えておいていただけたらと思います。
また、
「もう誰かが救急車を呼んだだろう」と思って、
実は誰も呼んでいなかった、
という事態も予測されますので、
重なってしまったとしても、気づいた人がしっかりと助けを呼ぶ、
という事は大切なようです。
● 我が子が溺水によって意識不明になってしまったら?
万が一、我が子が溺れてしまった場合、意識が無く、呼吸も無ければ「心肺停止」の状態で、
【3分以上、脳に酸素がいかないと、植物人間など甚大な結果に】
なってしまう可能性があります。
しかも、
【救急車の到着までだいたい7分かかる】
そうですので、現場で緊急の救命活動が求められます。
※ 数字はだいたいの目安だそうです。
最近ではAED(自動体外式除細動器)が用意されている施設も増えているので、
もしあれば、すぐに用意して音声案内に従いながら使用しましょう。
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AEDが無い場合は、救急車が来るまで
ご自分で心配蘇生法を行うしかありません。
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【心肺蘇生法は心臓マッサージと人工呼吸のコンビネーション】
です。
以下に簡単に解説させていただきます。
1. あごを上げて気道を確保する。
2. 胸の真ん中に手を重ねて、両肘を伸ばしたまま真上から強く押す(4〜5cm沈むのが目安)。
3. これを1分間に100回ほど続ける。
4. 人工呼吸を行い、2回、口から空気を入れる。
5. 心臓マッサージ→人工呼吸を繰り返す。
6. これを続けるのは体力的にきついので、出来れば周りの人と交代しながら、意識が戻るまで続ける。
以上に書いた数字はだいたいの目安だそうですが、
ネットにはたくさん情報が掲載されていますので、ぜひご参考ください。
★ gooヘルスケア「心臓マッサージ」
http://health.goo.ne.jp/medical/mame/oukyu/oukyu003.html
我が子を守る心肺蘇生法は、
個人的には出来るだけ多くの方が学んだ方がいいのかなと思っています。
赤ちゃんの救命救急講座は錦糸町の東京消防庁などで無料で受けられますのでぜひ参考になさってください。
http://www.tfd.metro.tokyo.jp/hp-hjbskan/honjo-event.htm
僕も受けましたが、知っておいた方がいいなぁと改めて感じました。
YouTubeでも見れます!
● 自分が溺れてしまった時は?
もし万が一、自分が溺れてしまった時の対処法です。
1. 慌てず、まずは浮くことを考える。
2. 落ち着いて助けを呼ぶ。
3. つかまれるものがあればすぐにつかまる。
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川の場合は、無理に流れに逆らって家族・仲間の
ところに行くよりも、流れを利用して川岸を目指した方が良い
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ようです。
泳いで陸地に戻る際には、クロールは想像以上に体力を消耗しますので、
出来れば平泳ぎもしくはバタ足などで戻りましょう。
万が一にそなえ、できるだけ一人で水場に行かず、友人や家族などと行くようにすると良いようです。
● 親が知っておきたい家の中での水難事故
子どもの溺水は海、川、プールだけではありません。
実は
・浴室
・家庭用ビニールプール
・洗面所
・台所
など、家の中での発生件数も意外に多いようです。
平成17年には、全国で
【40人近い子ども(0~9歳)が浴槽で溺れ、命を落とした】
との記述をネットで見ました。
・子どもと入浴中、髪を洗っているわずかな間に沈んでいた。
・目を離したわずかな時間に、1人で浴槽に入ろうとして誤って浴槽内に転落しておぼれた。
・浴槽のフタがずれて転落しておぼれた。
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たった10cmの水の入ったビニールプールでも、
親が携帯電話などを室内に取りに行っている間に、
お子さんが転んでしまい、うまく立てず、もしくは、
気絶してしまって溺れてしまう、という可能性
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も、全くないとは言えません。
● 室内での水難事故対策
・ 子どもだけで入浴させない。
・ お風呂に水を残さない。
・ 浴室のドアはしっかりと閉めておく。
・ 浴槽のフタを閉めておく。
・ 過去にどういう水難事故が遭ったのかを知っておく。
・ 子どもに自然、水の怖さを伝える。
・ 子どもから目を離さないようにし、必ず大人が「すぐに助けにいける距離」で付き添う。
・ 「誰が子どもを見ているのか」を明確にし、交代してもらう時は相互理解を大切にする。
以上になります。
怖い話をたくさん書いてしまいましたが(笑)、、、
万が一、の可能性で現実的に起こりうる話ですので、
あまり恐がりすぎず、ちょっと頭の片隅に入れておいて、
後は夏を思いっきり楽しんでいただけたら、
と思います☆
良い夏休みを!
※ 自分なりにかなりの時間をかけて調べてみましたが、
僕は水難事故の専門家ではありませんので、
情報が足りなかったり、一部、誤解のある情報があったりするかもしれません。
すみません。
細かく気になった点がございましたら、
ご自分で追加で調べていただけると嬉しいです☆
改めて、水難事故の犠牲になられた方々のご冥福を祈り、
現在も苦しんでいる方々に謹んでお見舞いを申し上げます。
監督・父
豪田トモ