スウェーデンでは「シルヴィアホーム」という認知症施設を訪問させていただきました。
こちらは現在のシルヴィア王妃のお母様が認知症を発症した事から、
創立を支援した施設だそうですが、
「王妃自らが福祉施設を作る」
というのは福祉国家の象徴的な事柄だなぁと感じました。
北欧を旅してみると、
「社会の皆で助け合う福祉社会」は
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そもそもの国民の意識の高さによって作られていて、
決してお国からプレゼントされたものではない
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のだろうなぁと感じます(「意識の高さ」というのは単純に「優れている」
という意味でなく、「社会の皆で助け合おうという意識の高さ」という意味です)。
今回はフィンランド、スウェーデン、ノルウェー、デンマークを廻りましたが、
会う人会う人に「税金が高い事はどう思いますか?」という「愚問」を投げかけても、
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直接税と間接税を合わせると
70%前後とも言われる税金に対して、
大きな不満を持っている人に会えませんでした。
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それ以上に
「たくさん出しているけれど、それ以上にサポートしてもらっている」
という感覚を皆さんが持っているように感じました。
「税金を"負担"しているというよりも、国に"貯金"しているという感覚」
だと、ある人が言っていましたが、
「なるほどー」と目から鱗でした。
個人で貯金するよりも、
国民全体で貯金する方が効率的ですものね☆
これは
・税金が何に使われているかの透明性が非常に高いこと
→政治家の資産や年収は誰でもネットで調べられるそうです
・汚職が非常に少ないこと
→政治家が税金でチョコを買った事が大問題になって辞職に追い込まれるくらい、
うるさいそうです(笑)。
・そもそも国と民の前向きなコミュニケーションが活発で相互の信頼関係が
歴史的に築きあげられてきていること
→やはり「信頼関係」というのは人同士もそうですが、
長い月日に渡る一日一日の積み重ねになって作られます。
・寒い国なので皆で助け合わないと死活問題に関わるとDNAが理解していること
・「いま」だけでなく「未来」の事をしっかりと意識した人生設計をしていること
→誰もがいつかは助けが必要な年になる、もしくはいつ誰が障がいを持つか分からない
という事を理解していて、「自分だけは大丈夫」とはあまり考えないようです
(もちろん人によって違うと思いますが)。
などなどがあるのかなと感じました。
もちろん、
不満がなくなる事はないでしょうし、
課題もたくさん聞きました。
でも「芯」の部分の信頼は揺るいでいない。
日本もこんな国になったらいいなぁと単純に思いましたが、
それ以上に、
「国と民の固い信頼関係が強い」
というのは、本当に羨ましい。美しい。
僕はいまはドキュメンタリー映画を作らせていただく機会が多いですが、
映画作りにおいては、
信頼関係を最も大切にしています。
そしてそれは、
・一朝一夕にしてなされるものではなく、日々の積み重ねである事
・自分の生き方が問われる事
・信頼関係は強くしようと意識しないと強くならない事
などを常々、感じます。
王妃が作ったという認知症施設、シルヴィアホームを歩きながら、
色々なことを考えました。
監督・父
豪田トモ