少し前の話になりますが、
順天堂大学大学院でがんの研究をされている
今井美沙さんにお話を伺いました。
今井さんは、以前、僕が書いたブログ
「求むヘルプ!! 北欧に行きます!!」
http://www.umareru.jp/blog/2014/05/post-1279.html
をお読みいただき、
フィンランドへの留学経験があるということで
ご連絡をいただきました。
今日は今井さんから感じた
【子どもを「1人の人間」として尊重することの大切さ】
について書かせていただきます☆
今井さんがフィンランドへ留学したのは、
今から約6年前。
大学院で博士号(ドクター)を取得した後のことでした。
インターネットで自分が興味のある分野を探してアプローチしたところ、
たまたまフィンランドにご縁を感じたそうです。
当時、暑い夏の日本を離れてフィンランドに行ってまず驚いたのは、
「もう夏休みだから、あなたもゆっくり休んだら?」
と研究室(ラボ)の人が皆いなくなってしまい、
何もやることがなくなってしまったことだそうです(笑)。
【フィンランドは国民のほとんどが6月下旬から8月中旬まで夏休み】
を取るため、
学校はもちろん、お店や様々な施設も、ほとんどがお休みになるそうです。
僕もフィンランドの人たちとメールのやりとりをしていたら、
6月下旬から
「ただいま夏休み中です」
と書いてあると思われるフィンランド語の自動返答メールが返ってきて驚きました(笑)。
はやっ!!!
労働時間も短く、
男性も女性も、
【ほとんどが16時にはオフィスを出て自宅に帰る】
そうです。
これはとにかく、
「家族と一緒に過ごす時間が何より大切」
という国民的合意の現れだそうですが、
その一つとして、
【パパの育休取得率は80-90%】
に及んでいます
(日本は約2%)。
「女性(だけ)が育児をする」という概念はあまりないそうで、
男性も女性も、
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「子育てをする」というよりも、
「家族と一緒に過ごす」という感覚
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なのだそうです。
昨年夏に北欧に2週間、行ってみて、
この感覚が何となく分かる気がしました。
夏休みは長いし、
労働時間は短い。
当然、経済などに影響するのでは?と思いますが、
実は
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経済効率は日本よりも良く、
フィンランドの2013年度の国民一人当たりの
GDPは約4.7万USドル。
一方の日本は約3.8万USドル
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と、残念ながら日本は、
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夏休みに6-8週間も休みを取り、
16時にはオフィスに誰もいなくなる国より
一人平均100万円程度、稼ぎが少ない
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のです。
正直、非常に悔しい。。。
この辺りのお話は長くなるので割愛いたしますが、
もちろん、フィンランドに問題がないわけではありませんし
(こうなるとあら探しをしたくなってきますが、笑)、
今井さんによると、
日本と同様に晩婚化や高齢出産など、
家庭生活とキャリアのバランスに悩む女性は意外に多いようですし、
自立を尊重されるがゆえに、
アルコール依存や自殺、離婚等の問題も根深いものがあるようです。
どの国もどの社会も、良い点、改善を目指している点はありますね。
今井さんはフィンランドへの留学の後、
アメリカのボストンにも2年半留学。
帰国後はがん治療の研究者として、
自分の道を生き生きと歩まれていますが、
そんな今井さんを作ってきたのは、やはりご両親の影響が大きいのだなぁと、
お話をうかがっていて感じました。
とは言っても、
親が医者だったから、研究者だったから、という事ではなく、
今思い返すと、小さい頃から常に
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自分の好きな事に取り組むよう勧められ、
「女の子だから」という枠にはめられずに育てられてきた
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そうなのです。
今井さんは、
子どもの頃はとにかく泥遊びや外遊びが大好きで、
外で虫を探したり、山を作ったりして走り回っていました。
ちょっと珍しい女の子、だったのかもしれません(笑)。
でもご両親は、
「女の子なのに...」
「女の子なんだから...」
とは言った事は一度もなく、娘が興味を示す
恐竜図鑑
宇宙図鑑
など、
興味のあるものは出来る限り、与えてくれたそうです。
成長した今井さんは、
中学3年生の時にボランティアで訪れた
小児科病棟で白血病の子どもたちと交流したのがきっかけで
「この子たちを治してあげたい!!」
と思うようになり、がんの研究者を志すようになります
(白血病は血液のがんです)。
大学で遺伝子工学の研究室に入って、がん研究を始め、
そのまま大学院の修士課程、ドクター(博士課程)へと進みました。
しかし、実は
博士課程に進む時、研究仲間の女子学生は
「嫁に行けなくなる...」
「女の子なのに、可愛くない...」
などを理由に両親に反対されたりして、
ドクターを断念する人も多かったようです。
こういうお話を聞いた事がなかったので個人的には衝撃でした。
もちろん、「女の子はこうあるべき」
とは一切言わないご両親は、今井さんの選択を見守り続けました。
「やりたいことをやりなさい、が親の教育方針でした。
自分の信じる道を楽しく、歩んでいきたいと思っています」
という今井さん。
だからこそ、
「何となくアメリカ」ではなく、
「自分にとって本当に必要なことが学べる場所」
としてフィンランドを選んだ
という部分もあるのかな、と感じました。
僕も、1人の父親として、とても感銘を受けました。
こうありたいな、と思います。
ちなみに、
今井さんが中学生のとき
「がんを研究したい」
と思うようになったきっかけの
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小児白血病は2014年現在、
9割が治るようになった(!!)
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そうです。
しかし、まだまだ治療が困難ながんはたくさんあります。
「私の力が役に立てれば、、、」
今日も今井さんは研究を続けています。
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監督・父
豪田トモ