新作映画『うまれる ずっと、いっしょ。』に登場していただいた
ご家族の中に、42年間連れ添った奥様を大腸がんで亡くされた男性が
いらっしゃいます。
明日、3月24日は命日になります。
映画の中では、愛する奥様を亡くされた方が
その悲しみをどのように受け入れ、遺されたご家族の支えとともに、
今を生きていかれるかをドキュメントさせていただきました。
奥様の旅立ちから丸2年。
天国に旅立たれて間もない頃は、当然のことですが、
だんな様は、たくさん涙を流され、現実を受け入れられない辛さや
寂しさ、そして、孤独感と闘っていらっしゃいました。
四十九日の時には、奥様からのお手紙を自分で読むことができず、
娘さんに読んでもらっていたのが印象的でした(映画にも出て来ます)。
死別体験をした方のグリーフプロセス(悲嘆のプロセス)は
早い人でも、1年弱はかかる、と言われています。
否認や怒り、恨み、罪意識、孤独感、、、、
などをいやというほど感じ、時間の経過とともに、
徐々に、受け入れ、立ち直っていく、というものですが、
この悲嘆のプロセスの視点で大切なのは、
愛する人を失う以前の自分に戻ることではなく、
苦痛に満ちた喪失体験を通じて、
新しいアイデンティティを獲得する、という事のようです。
もう、元に戻る事は出来ないのだという事を最終的に悟り、
言わば
「生まれ変わる」
という事になるのだなぁと、撮影中に感じました。
時折、新作の『うまれる ずっと、いっしょ。』で
「遺されるというテーマは『うまれる』とは違うのではないか?」
と質問される事がありますが、
僕は「なくなる」と「うまれる」は決して切り離された事ではなく、
大きなつながりのある事なんじゃないかなぁと思っています。
愛する人との別れ、というものは、
誰しもが、ほぼ必ず経験しなければいけないものです。
2年が経過した今日も、奥様との楽しかった日々や
ともの闘った日々のことを、娘さんやお孫さんたちの支えを受けながら
思いおこされていらっしゃる事と思います。
私たちもお線香をあげに、これから向かいます。