右の彼、マルちゃんはこう見えて、
実は元・薬物依存症者。
2017年に沖縄の依存症回復施設ワンネスさんで
撮影を開始したときにご縁をいただいた。
薬物にハマってしまったきっかけの一つが、
次女を先天性の心臓病で1歳で亡くしたこと......。
生命維持装置を止めた自分を
「娘を殺してしまった......」と責め続け、
ひどい時には9日間、寝ずに薬を打ち続けたらしい......。
あれから3年経ち、
彼は完全にクリーンな体になった(!!)。
そして今では施設のスタッフになり、
施設長として、日々、リーダーシップを発揮している。
出会った時は、
あまり表情がなくて、目に火が灯っていなかったけれど、
今の彼からは「仲間を助ける!」という活気が溢れ出ている!
人間、いつでも「生き直し」を実践できるんだなぁーー!
と、会うたびに成長を見せてくれる彼の姿に、
心から感動します。
彼が回復できたのは、
施設のスタッフさんや回復仲間のサポート、
長年わだかまりがあった親との和解。
これは、はっきり言って、回復の重要な鍵を握ります。
そしてもう一つ大切なこと。
それは、
生き別れた長女に、
いつか立派な父親としてまた会いたい!
と言う強い意欲
(約10年前に離婚して以来、会っていない)。
「薬におぼれた父親」
ではなく、
「苦しんでいる人たちの回復を助けている父親」
として、
いつ再会してもいいように、
彼は日々、修行しています。
撮影を始めた頃は
「こんな俺じゃ、会えない......」
と言っていた彼が、少しずつ
「会える人間になれるように頑張る」
と言うようになり、
「会いたいなー!」
と顔を見上げ、最近では逆に
「会えたら最高。でも、そこにこだわりすぎず、
いつかの日のためにただ自分の人生を歩んでいく」
という発言に変わってきた。
次女のお墓参りに一緒に行った時、
彼はふと、こんなことをつぶやいていた。
「子供が教えてくれたことは
いっぱいあって......。
愛するってことって、すごいことだし、
こんな俺の命でも、意味はあるし、
誰かの力になることもできるんですよね」
絶対に経験したくなかった挫折だったと思うけれど、
そんな彼だからこそ、強く、そして優しく、
世の中に出来ることがあるのかもしれない。
監督・父
豪田トモ
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