あの時。
僕は妻と3ヶ月だった娘、友人と昼食を取り終え、
水天宮駅のレストランでお茶を飲んでいた。
突然。
地面からの突き上げるような激しい揺れ。
瞬間的に娘を抱き抱えて、
空中ブランコのように揺れるシャンデリアを傍目に、
よろけながら外に飛び出した。
10年経ち。
娘は小学四年生になり、
メイクとファッションに興味津々な女の子へ脱皮中。
月日というものは、流れるんですね。
でも、もしかしたら、被災された方々の月日は、
僕らより流れていないかもしれない。
「ああしていれば」
「こうしていれば」
後悔と自責の念で、進んでは戻り、
過去に引っ張られては、一歩を踏み出し、といった繰り返しかもしれない。
残念ながら、僕らが地球の住人であり続ける限り、
今後も様々な顔をした災害がやってくる......。
いま僕らに出来ることはたくさんありますが、
そのうちの一つは、
「備えること」でしょうか。
ただ、水や食料、住居の補強、連絡体制などなど、
「備える」ためにはやらなきゃいけないことは幾多もあり、
しかも、常にアップデートし続けなければならない
(これまで何度、震災食を買い換えたことか......)。
月日が流れると、「備え」を怠ってしまうことも......。
これも一つの「風化」なんでしょうか。
毎年、この日が来ると、
僕は被災者の方々に思いを馳せると同時に、
もう一度、「備える」ようにしています。
皆さん、自分のため、愛する人たちのために、一緒に備えよう。
東日本大震災で被害にあわれた方、心に傷を負われた々には
謹んでお見舞いを申し上げるとともに、
亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
監督・父
豪田トモ